歯周病で失われた歯を支える組織を再生する治療

歯周組織再生療法とは、歯周病によって失われた「歯を支える骨(歯槽骨)」や「歯根膜」などの組織を再生させることを目的とした治療です。通常の歯周病治療では、炎症を抑えることで進行を止めることはできますが、いったん破壊された骨や歯周組織は自然には元に戻りません。当院では、マイクロスコープやCTによる精密診断のもと、再生療法を用いて失われた組織の回復を目指しています。

歯周組織再生療法の目的と効果

歯周組織再生療法は、単に歯ぐきを治すだけでなく、「歯の寿命を延ばす」ための治療です。重度の歯周病では歯がぐらつき、抜歯が避けられないこともありますが、適切な再生治療を行うことで、歯を抜かずに保存できるケースも少なくありません。再生療法は、患者さまの将来的なQOL(生活の質)を維持するうえで非常に重要です。

再生療法で回復を目指せる組織

  • 歯根を支える「歯槽骨」
  • 歯と骨をつなぐ「歯根膜」
  • 歯肉(歯ぐき)の付着上皮

当院で行う主な再生療法の種類

エムドゲイン(Emdogain)法

エムドゲイン法は、スウェーデンで開発された「エムドゲイン・ゲル」という薬剤を用いた再生療法です。エナメルマトリックスタンパク質を主成分としており、歯の発生過程を再現することで歯周組織の再生を促します。外科的に歯肉を開き、感染した組織を除去したうえで、歯根面にエムドゲインを塗布し、歯ぐきを縫合して治癒を待ちます。

GTR法(組織再生誘導法)

GTR法(Guided Tissue Regeneration)は、人工膜(メンブレン)を使って歯周組織の再生を誘導する治療法です。骨の再生を邪魔する歯肉の細胞を一時的にブロックし、歯槽骨や歯根膜などが自然に再生されるスペースを確保します。エムドゲインと併用することで、より高い再生効果を得られる場合もあります。

人工骨移植(骨補填材)

重度の骨吸収がある場合は、人工骨や自家骨を移植して再生を補助します。人工骨には安全性の高いハイドロキシアパタイトやβ-TCPなどが使用され、自然な骨への置換が期待できます。再生療法と併用することで、歯の支持力を回復し、長期的な安定を図ります。

治療の流れ

① 精密検査と診断

歯周ポケット検査やレントゲン、CT撮影などで歯槽骨の吸収状況を把握します。再生療法が適応できるかを慎重に判断します。

② 歯周外科手術

局所麻酔を行い、歯肉を開いて感染した組織を除去します。その後、エムドゲインの塗布や人工骨の充填を行います。

③ 縫合・治癒期間

歯ぐきを丁寧に縫合し、数週間から数か月かけて新しい組織の再生を待ちます。経過観察のため定期的な通院が必要です。

④ メンテナンス

再生後も再発を防ぐために、定期的なクリーニング(PMTC)や歯周検査を行います。再生療法後のケアが、歯の寿命を左右します。

再生療法が向いている方・向いていない方

再生療法はすべての歯周病に適用できるわけではありません。骨の吸収形態や感染の広がり方によって、適応が異なります。
しかし、適切な診断のもとで行えば、失われた歯周組織を取り戻せる可能性が十分にあります。

  • 歯周病で歯がぐらついてきた方
  • できる限り自分の歯を残したい方
  • 抜歯を避けたい方
  • インプラントの前に骨量を回復させたい方

治療後の注意点とメンテナンス

再生療法後は、治癒の妨げとなる強いブラッシングや喫煙を避けることが大切です。歯肉の腫れや痛みがある場合は、早めにご連絡ください。
また、定期的な歯石除去と口腔清掃指導を受けることで、再生した組織を長く健康に保つことができます。

大阪市生野区・南巽で歯周組織再生療法をご希望の方へ

当院では、歯をできるだけ残すための選択肢として、歯周組織再生療法を行っています。
「歯がぐらつく」「歯ぐきが下がった」「抜歯といわれたが残せるか知りたい」などのお悩みがありましたら、まずは一度ご相談ください。
最新の診断機器と確かな技術で、患者さまの歯を守るサポートをいたします。